活鰻調理技術 「蒸し」

「素焼き」作業が完成して「本焼き」作業に移る前に「蒸し」の工程がある。
関東風(江戸前)蒲焼の最大の特徴は「蒸し」にあり、「蒸し」によって鰻の余分な脂肪が少しずつ脱け肉はふっくらとした柔らかさを得る事になる。
 
●「蒸し」に使用する調理器具には、 古来から使われてきた「せいろ」と、近年普及した「蒸し器」の2種類が主流であり、いずれも基本的には鰻の皮側を下に置く事。
 
「蒸し器(むしき)」 「せいろ」
 
●「蒸し」時間
  1. 「蒸し時間」は、鰻の種類や大きさ・仕込みの仕方等色々な要因が関係するので一概に断定は出きないが、この加減により関東風蒲焼の真髄(しんずい)である風味柔らかさが左右されかつ蒲焼完成品の良し悪しに直結するので、繊細に注意する事。
  2. 「蒸し時間」が短いと、身が固く「本焼き」時に色付きの悪い状態になり、また「蒸し時間」が長いと、身から脂肪の脱け過ぎた崩れやすい状態になるので注意する。(身の最適な柔らかさは、感覚的には人間の耳朶(みみたぶ)程である故参考にする事)
 
●鰻の取り出し方
  1. 鰻は1枚ずつ両手で保持し「せいろ(蒸し器)」より取り出す。
  2. 一旦火鉢上の鉄灸にかけ皮側を炙(あぶ)る事によって余分な水分を蒸発させて取り除く事。(タレ付け時において瓶(かめ)に水分が入りタレが劣化する「沸く」状態を防止する為)
     
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