第1回野田屋研修会

 平成15年に、上野伊豆栄様本店で、第1回野田屋研修会が行われました。
平成の不況は未だ出口が見えないまま、昨今の食品会社に措ける不祥事や大手銀行の国有化等、日本の経済事情は益々混迷の度合いを増しております。
 このような世相下に措きまして、私共「活鰻業界」も年々苦しい商いを余儀無くされており、中でも高級食材として位置づけされております「蒲焼業界」に措きましては、『接待交際費の削減』『活鰻市場相場価格の高騰』等の影響に因りまして各店の経営者様は日々の営業にご苦労している事と推察致します。
 私共「野田屋調理士紹介所」並びに「野田屋東庖会」は、各お得意様の経営の一助となる事を信念と致しまして、調理士の紹介及び活動を業務としておりますが、当会でも『所属調理士の高齢化』『所属調理士の資質の向上』 『若手調理士の発掘並びに育成』等の課題を抱えており、その問題解決に日々腐心しております。
 このような状況下に措きまして、当会役員及び会員皆様とお得意先皆様とが一同に会して諸問題の提起及びその解決策を見出そうとするのが【研修会】の趣旨であります
 今回の【研修会】が有意義に執り行われ且つ日々の仕事の一助となりまして、回を重ねる度に充実して継続開催出来る事を心より祈念致しております。

研修概要
司会は【青年部部長】の「古賀秀喜」が勤めました。

当会のお得意先代表格であります「尾花」様に勤務しており、技術優秀で、且つあらゆる状況に対応出来る頭脳明晰な若手会員の代表です。
開会は【会長】の「笠松勝幸」の挨拶で始まりました。

永年に亘りまして、当会のお得意先代表格であります 「伊豆栄」様に常務として勤務した後、定年退職して野田屋東庖会【会長】に就任致しました。

その人柄は温和で人望が厚く、管理能力には定評があります。
会場は【伊豆栄】様の本店4階の大広間にて開催致しました。

約70名の参加者が時間が過ぎるのも忘れて熱心に研修して頂いた事は喜ばしい事です。↓
議事進行役は【日本養殖新聞社】の高嶋記者にお願い致しました。

彼の質問は、不況下に措ける各お得意様の経営対策から当会の現状と将来計画及び会員の技術者としての自覚まで多岐に及びました。

【伊豆栄】様は、厳しい世相の中で老舗の大型店を経営してゆく難しさを説明されると共に、当会会員が技術力を更に向上させ且つ適確に時代認識をしてゆく事を希求されておりました。

【伊豆栄】の若女将様は昨今の活鰻業界の産地問題に触れ、老舗蒲焼店としての名誉の為にも、外国産の活鰻を使用せずに、国内産の活鰻を美味しく提供する当該店様の方針をご披露されておりました。
【川甚】様は、和食部門と鰻調理部門に独立している当該店様の経営状態を説明された後、売り上げ向上の為にも、当会雇用会員の奮起を促すと共に、今回の研修会開催を多大に評価して頂きました。
【寿々喜】様は、当該店様の在ります蒲田という町の環境下に措きまして、昼食時の価格競争を傍観するだけでは無く、鰻蒲焼店としても集客の為に対応する必要性について述べられました。
【押田】様は、当該店様の在ります郊外住宅地に措きまして、不況下での影響を訴えられ且つ日々の商いでの創意工夫を披露すると共に、雇用会員の技術力についてお褒めの言葉を頂戴致しました。
【幸楽園】様は、集客の為に実施しているサービス方法をご披露すると共に、夏期繁忙期に措いて購入頂いております当会製作『全工程手作業の白焼き加工品』の品質について、お褒めの言葉を頂戴致しました。
【源氏】様は、雇用会員の人柄及び技術力についてお褒めの言葉を頂戴すると共に、契約問屋の品質の劣化について苦情を述べまして、更に昨今の活鰻事情についても触れられておりました。
【浜田屋】様は、当会とお付き合いさせて頂いて日が浅い為に、紹介派遣されます会員とお得意様との所属関係その他について熱心にご質問なさると共に、雇用会員については満足している旨を述べておりました。
【双葉】様は、各種活鰻を始めとして、お客様の要望に応える料理を提供するご苦労と、当該店様の味を継承してゆく為の従業員の指導育成方法についてご披露なされました。
【すず金】様は、昨今の活鰻事情に措いて、国内産と外国産の相違点並びに育成方法による相違点等と、調理する時の各種活鰻の注意点他を熱心にご質問なさっていました。

前列に並ぶ役員は、当会100余名を統括する精鋭幹部で、何れも各お得意様で調理長等の指導的立場にあり、技術人格共に会員の手本となる野田屋東庖会の屋台骨的存在です。

お得意様の質問に回答する【理事会計】の「沖杉正明」は、【三越本店】様に勤務しており、若手会員の統括的立場に在り、講習会や研修会等の行事運営は彼の尽力が多大であります。
質問に回答する前【尾花】様調理長の「磯崎一吉」は、定年退職後、当会の調理部長として【神田川】に勤務しており、秀逸な技術を披露しておりますと共に、永年の経験に因る知識は他の追随を許しません。
質問に回答する「武井庸次」は、【伊豆栄】様の店舗中最も料亭的な存在である【梅川亭】に勤務しており、当該店様のお客様に対する真摯な姿勢と、その調理方法について述べておりました。
質問に回答する【青年部副部長】の「鈴木善行」は、埼玉県の中でも老舗の鰻割烹店であります【魚庄】様に勤務しており、若手会員中でも秀逸な存在で、技術優秀且つ頭脳明晰で当会の将来を担う逸材と期待しております。
当会の広報且つITアドバイザーの「谷本和広」は、所長の個人的な友人でありますが、当会のホームページやパソコン業務の助力等、野田屋のIT化促進に尽力しております。
所長「江部惠一」の閉会挨拶で締め括りを致しました。

『世間では不況の嵐が沈静化する気配すら見せておりませんが、その中に措いて、組織の拡充と若返りが図れた事は喜ばしい事でございます。

しかし、更に志を高く持ちつつ研修と講習を重ねて精進して行く所存でございますので、関係各位の皆様のご理解ご協力を宜しくお願い致します。

そして将来的に(徹底したプロ意識を持った職業組織)
として、業界の発展に寄与出来る事が当会の使命と任じて
おります
ので、皆様のご支援の程重ねてお願い申し上げます。』