野田屋 刺身料理講習会
解体方法その他(鮪の購入〜保存〜解凍から解体方法)
購入時の注意点 鮪の品質は、魚種・魚体の大きさ・漁獲時期・魚場等により異なり、加えて漁獲後凍結されるまでの時間や凍結方法によって千差万別である。
したがって品質は、生鮮品や解凍品ならば、色付や脂の乗り具合等で比較的見分けやすいが、冷凍品になると選別が難しくなる。
以上、を理解した上で、購入時の注意点としては以下の点である
@信頼ある取引店の専門家に、各種鮪の品質や特徴および値段等を相談すること。
A当日中に消費する分量だけ購入して、まとめ買いは避ける。
B一般的に美味な鮪としては、クロ→ミナミ→メバチ→キハダの順である。
C品質の良い鮪が獲れる海域は、緯度30度以上の高緯度海域や
低緯度でも低水温域のような水温の冷たい海域である。
D全体的に肉質が良い魚は、産卵前や魚体の大きいものであり、逆は避けるべきである。
保存方法 鮪の肉は、その性質上表面温度で、−3℃〜−4℃、中心温度で−6℃〜−7℃付近で著しく変色しやすいので、正しい凍結及び解凍方法の為には、前述した温度帯を素早く通過することが不可欠である。
したがって、業務上冷凍が不可避の場合にはのみ以下の要領で保管すると良い。
@表面の乾燥防止の為に冷塩水に浸した濡れ布巾や紙タオルを固く絞った後包むこと。
A他の品物と重なったり接触しない為に、@の後容器に保管する等して4℃〜5℃の温度帯で保存すれば2日程度は可。
B冷凍状態の鮪を保存する際の注意点は、職場の冷蔵庫の冷凍温度以下で売られているもので、且つ完全密封されていたものでなければならない。
C但し以上の条件は、鮪の品質や冷蔵庫及び冷凍庫の開閉頻度によっても異なるもので注意が必要である。
解凍方法 解凍する際の注意点としては、体表面温度は上昇して直ちに溶けるが、中心部が解凍するまでには時間がかかるので、その時差により表面の品質低下が起こり易いことである。
また解凍中に最も変色しやすい−3℃〜−7℃の温度帯を素早く通過させる為にも、この温度帯での急速解凍が必要である。
上記の点に留意して、以下の要領で解凍すると良い。
@塩分濃度3%程度で温度が40℃程度の塩水に、ナイロン袋に入れた鮪を浸けて予備解凍を行う。
A予備解凍する時間の目安は、500gの塊で5分程度、200gのサクで1分程度である。
B夏季には、右図のように扇風機の強風40分程度で解凍が可能である。
尚、何れの季節でも、80%程度の解凍に止めると綺麗に包丁が入りやすいので参考にすること。
C解凍時に出た水分をふき取り血合いや皮を除いた後、新しい紙タオル等でサク1個ずつを重ねないで包んだ後に、容器に入れて冷蔵庫に保管すると良い。
サク取り方法 使用用途によってサク取りの形は様々であるが、基本的には筋に沿って縦長にサク取りして、刺身にするときには筋に対して直角に包丁を入れことを心がけるべきである。
右の断面図を参考にして下記の要領でサク取りをする
図U
@最初に皮と血合を取り除くこと
A腹骨が付いている時は、出刃包丁を使って取り除くこと
B右図の片側から4〜5cm位の間隔で水平に包丁を入れて、塊を数個分切り取ること
CBで切り分けた塊を、たてに親指1本分(約2.5cm)位の間隔で包丁を入れサク取りをすること
図T
D@で切り取った血合の部分も捨てないで、血抜きをしたら水気を絞り、酒・醤油・味醂・生姜等で味付けをした後に、焼いたりして調理する旨心がけること。