野田屋 刺身料理講習会 
盛り付け
日本料理にとって共通する真髄の一つは様式美であります。
様式美は、料理の色合い、粧い具合、あしらい物の色彩、器の色や形等、様々な要素を全て綜合した美しさのことです。
また、料理の美しさは「美味しさ」と同義語でもある故に、例え演出でも味わいの美しさから離れてはなりません。
以上を理解した上で、器を吟味選択した後盛り付けます。

日本料理の食器は、素材別に分類すると「陶磁器」「漆器」「ガラス器」「竹器」「金属器」等多様であり、個々の色まや形まで含めると膨大な種類になります。
極論すると、日本料理の世界には、料理の数だけ食器も存在すると言えるのではないでしょうか。
刺身の盛り付け迄の工程に関しても
@ 鮮度の良い旬の素材を使用する
A 刺身の存在を鮮烈にする為にも、研ぎ澄まされた包丁で切り分けることによって、その角及び、断面を際立たせる
B 各々の食材の配色に留意して配置する
C 食材と器との愛称を考慮しつつ、食材に高低差をつけて、立体的に配置する
D 刺身料理の脇役である「つま」を、用途に応じて存分に使い分ける
以上の基本を熟知した上で、加えて、昨今に措ける消費者の生活・環境・嗜好等に巧みに適応させて
変化発展させることが必要不可欠であります。

すなわち、料理の盛り付けこそ、料理人の熟練した手腕と類無い感性の集大成と言っても過言ではありません
そこに存在する様式美は、「選ばれた器」と「職人の技」の絶妙な調和であり、料理と器が必要不可欠な関係にあることが理解できます。

曰く、盛り付けとは料理の化粧と定義できるのではないでしょうか。
鮪の一点盛り 烏賊の一点盛り
刺身の二点盛り 刺身の三点盛り
刺身の盛り合わせ